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2009 5月

果樹の剪定について教えて下さい!

剪定の目的は色々ありますが、ひとこで言うと「採光、通風、作業性」の良い樹をつくるために不用な枝を取り除き樹形を整える作業です。そして、一番大切な採光とは、樹全体に陽があたるように、そして美味しい実が育ちやすいような樹や枝の形をつくることです。そのためには、大枝を少なくして結果枝(実のなる枝)を多く残して葉っぱが豊かに繁れるようにすること(専門的には弱剪定といいます)が基本となります。

採光よくすることで樹の内部まで陽があたるようになり、樹全体にまんべんなく美味しい実をつけることができます。採光の良くない樹では上の陽のあたる部分にばかり実がなってしまったり、中のほうの枝が枯れてしまったりします。通風とは文字通り風通しの良い樹のことですが、これによって害虫防除のための薬剤散布のとき薬剤が樹のなかまで通るようにすることができます。作業性も大事です。摘果や収穫などの作業がやりやすい形の樹を育てることは手間を減らすという意味で、果樹園経営ではとても重要な要素です。

肥料はどのような物を与えているの?いつ与えるの?

肥料をどのようにあげるかは、果樹園の土質や果樹の品種や樹齢などによって異なります。有機質肥料と化成肥料をバランスよく混ぜながら適切な時期に樹の時々の必要に応じて施肥をおこないます。「果樹にあう土質ってどんなもの?」への回答も参考にしてください。

モモを例にとると、一般的には秋肥、冬肥、春肥、夏肥と呼ばれ、季節季節に応じて施肥をおこなうのが普通です。「赤い実の熟れる里」では収穫後に礼肥として年間の肥料の3割をあげます。そして秋肥として残りの7割を与えます。要するに収穫後の施肥が重要なのですね。これは、「摘蕾、摘花、摘果について教えて下さい!」の質問で回答したように、永年作物であるモモを毎年安定して収穫するためには、収穫後に樹に適当な貯蔵養分を貯えさせることがとても大切だからなのです。野菜栽培などと大きくことなるところですね。そして気候や樹齢などによって必要な場合には春肥を少々与えます。3月頃に与え5月頃に肥料の効果がピークになります。これは主に幼木の枝の成長を促すためのものです。成木では樹勢を回復させる目的があります。但し、幼木に春肥を与えすぎるとかえって樹が病弱になったりするので、あげ過ぎは禁物です。

台風や雪で折れた樹はどうなるの?

被害がひどい場合にはその樹は諦めて更新するしかありません。太い枝が折れたような場合には放っておくと、そこに病害虫が発生するもとにもなりますから、その枝は切り落とすことになります。

大切なことは台風や雪でも折れにくい形の樹を育てることですね。ここでも樹形を考えた剪定がとても重要なのです。とても専門的なことがらですから、詳しくはお答えしませんが一例をご紹介しましょう。例えば樹の基本的な形・張り具合を決める主枝亜主枝を撰ぶときに、幹から鋭角に伸びているものは剪定で切り落とし、できるだけ鈍角に派生してきたものを残すようにします。鋭角に伸びてきたものは加重がかかったときに付け根から折れ易いからです。また老齢の樹ではどうしても枝が折れ易くもなりますから、そういったものには支柱を添えて支えてあげることもします。

果樹に虫はつかないのですか?

果樹の害虫に関する質問ですね。残念ながらモモやリンゴにはたくさんの害虫が寄生して大きな被害を与えます。果樹栽培は害虫との戦いといっても過言ではありません。だから果樹の栽培は無農薬という訳にはなかなかいかないのです。もちろん「赤い実の熟れる里」では、フェロモンを使ったり色々な工夫をして減農薬につとめています。また色々な研究機関で、天敵を使った生物農薬の研究も進められています。こういった天敵や生物農薬の研究が進んで、農薬を使わない果樹栽培ができるようになる日が来ることを祈っています。

色々な害虫が知られていますが、その一部を紹介してみましょう。ナミハダニリンゴハダニというダニ類は梅雨開けから盛夏にかけての赤い実の大敵です。ナミハダニは果樹で問題となるハダニ類のなかでもっとも有名なものです。寄生範囲が広く、リンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、オウトウ、スモモ等ほとんどの果樹に寄生するほか、野菜、花き、雑草などの草本植物にも寄生します。寄生の程度がひどくなると葉っぱの機能が低下し、果実が大きくなれなくなるばかりでなく、着色、糖度、あるいは花芽形成にも悪影響を及ぼします。

モモシンクイガナシヒメシンクイというシンクイムシ類も果樹の大敵です。とくにモモシンクイガは幼虫が果実に進入して害を与えるので、果樹では最も重要な害虫として知られています。この虫がたちが悪いのは果実だけに寄生することです。産卵はほとんど萼顎部にされ、幼虫もこの近くから果実に侵入します。幼虫の侵入部位からははじめ果汁が出て、これが涙状に固まるといわれます。やがて幼虫は果肉部を不規則に食害し、最後には果芯部までを食害するにいたります。最終齢になると果面に穴を開けて外に脱出するのですが、この穴は針を刺したように直線的に果芯部に達するので、この虫にはハリトオシの別名があります。ナシヒシメシンクイはモモやリンゴのほかスモモ、アンズの果実などと、ほとんどの果樹の新梢に寄生することが知られています。

桃にはモモアカアブラムシカワリコアブラムシ、林檎にはユキヤナギアブラムシリンゴアブラムシなどのアブラムシ類も大敵です。ひとつだけ詳しく説明してみますと、モモなどの核果類の樹にモモアカアブラムシ寄生すると、葉っぱを不規則に激しく縮らせたり、ひどいときには葉が落ちてしまいます。そして葉の機能が低下し、新しい梢の伸びるのが妨げられてしまうのです。放っておくと、樹は衰弱して果実は大きくなることが出来ないばかりか、翌年の花芽の形成にも悪影響を与えます。モモなどでは最も問題となるアブラムシとして知られています。 

まだまだ一杯ありますが、この問題は「天敵の研究」と合わせて別のコーナーでもう少し詳しく説明したいと思います。

りんごの木の使い道は?

焚き木に使う以外これといった用途はありません。しかし、最近は暖炉や薪ストーブが静かなブームのようですが、剪定で落としたリンゴの幹や枝を薪に使うと良い香りがするということで人気があります。

摘蕾、摘花、摘果について教えて下さい!

モモを例にしてお話しましょう。着果管理 (樹にどのくらいの数の果実をならせるか)は摘蕾(余分なつぼみをとること)と摘花(余分な花をとること)が基本と言われています。

モモの樹に葉が育ち光合成で作られた養分が利用されるようになるのは、花の満開後30日目以降になってからです。それまでは、前の年の収穫後から冬の休眠期にかけて樹に貯えられた貯蔵養分がエネルギー源になるのです。つまり新芽がでて若葉が育つのはこの貯蔵養分に頼っています。無駄な蕾をつけ無駄な花を咲かせることはこの貯蔵養分を浪費することになるのですね。花が一杯咲いたモモの樹は見かけは美しいのですが、モモの樹にとっては消耗に他ならないのです。貯蔵養分を有効に使い、美味しい実を育てるためにおこなう作業が摘蕾と摘花です。

最後に摘果です。着果量の調節はは摘蕾と摘花でおこなうのが基本ですが、最終調節をおこなうのが摘果です。わかりやすく言えば実の間引きですね。摘果は樹に勢い(樹勢)をみながら行います。摘果は予備摘果(満開後2~3週間でおこなう)、本摘果(満開後40日目頃におこなう)、修正摘果(満開後70日目以降におこなう)の3回にわけておこないます。予備摘果は最終着果量の50%くらいをめどにしておこないます。本摘果は樹勢を見てその程度を決めますが大体は最終着果量の10~20%増しが目安です。修正摘果は最後の仕上げで、形の悪いものや虫食いのもの、育ちが悪い実をとりのぞく作業です。

一本の樹にどれくらいの数のりんごや桃がなるの?

これは果樹園のある地域の気候や土壌、肥料のやり方、果樹の品種や樹齢、剪定や摘果のやり方など様々の要因によって異なりますので一概に言うことはできません。しかし、標準的な例をお話すれば、10アール(a)あたり24本の木を植えて、大体10000から12000個、つまり一本の樹で平均500個くらいの果実を収穫することができます。

しかし美味しい「赤い実」を安定して育てるためには、ただたくさん収穫すれば良いと言うものではありません。また果樹というのは大変微妙なもので、例えばリンゴではある年に無理してたくさん収穫したりすると実にばっかり栄養がいってしまい樹の成長に悪影響を受けて、翌年に実をつけなくなったり収量が激減したりしてしまうことがあるのです。これはリンゴの隔年結果(一年おきにしか実がならない)と呼ばれる現象です。果樹栽培で大切なことは毎年安定して美味しい実の収穫をあげることですから、無理して収量を上げるのではなく、樹の成長を促しつつ、恵みである果実をほどよい量だけならせることが大切なのです。

美味しい桃やりんごはどうやって見分けるの?

美味しいリンゴや桃の見分けかたも大事ですが、「赤い実の味の良し悪し」は、もちろん好みもありますが、なんと言っても品種により決まります。一般に早稲種は甘味に乏しく、美味しいものは晩生の種類に多いことは仕方ありませんね。「赤い実の熟れる里」のお奨めは? それは桃なら「あかつき」、リンゴなら「ふじ」、これは誰しも異存のないところでしょう。里の主力品種もこのふたつです。

美味しいリンゴの見分け方

まずは美味しいリンゴの見分けかたから。あまり難しく考えないで、「手に持ってズッシリと重く感じるもの」が良いのです。加えて、ツルが太いものが美味しいリンゴです。重さとツルの太さ、あと加えるなら形、色、つやが良いものがおすすめですね。

でもこれだけではちょっと愛想がないので、もう少し詳しく知りたい人のために説明しておきましょうか。リンゴの味を決める要素には

  1. 大きさと重さ
  2. ツルの太さ
  3. 香り

などがあります。

大きいリンゴは見かけは良いのですが必ずしも味はよくありません。中型からやや小型で、ズッシリと重く感じるものが良いのです。重いということは比重が高く糖度も高いことを示しています。
ツルは見た目にみずみずしくて太いものを撰びましょう。ツルが太いということは、それだけ樹の上で充分完熟させた証拠でもあります。
色も大事な要素です。一般には色の良くついたものほど甘みが強く味も濃いものです。但し袋をかけて栽培したりんごは、明るい色は付いているが、甘みが劣ることも多いのです。みかけにごまかされてはいけません。「赤い実の熟れる里」では難着色種といわれる「ふじ」を無袋で栽培し、樹上で完熟させています。これは着色は少々鈍いのですが、袋をかけたリンゴよりはるかに甘味が強く蜜もよく入るからです。
最後に香りですが、リンゴの香りの素は、アルコール類、エステル類などだと言われています。一般には、よく熟したものほど、リンゴ特有の良い香りを出します。但し、熟し過ぎて、発酵臭のように感じられるものは避けてください。

台風で落ちた実はどうするの?

残念ながら捨てるしかありません。一部では台風で落ちたリンゴをリンゴ酢の原料に使ったりもしているようですが、「赤い実の熟れる里」はよいものを消費者届けることをモットーにしていますから、躊躇なく捨てることにしています。またモモでは樹から落ちた実を放っておくと腐って青酸物質という根に対する毒物が発生して根の発育に悪影響を与えます。速やかに捨てなければなりません。

質問に答えるついでに、果樹栽培と台風や強風との戦いについて説明しておきましょう。とくに収穫までの期間がながいリンゴは台風などの強風による落果との戦いでもあります。対策としては枝の剪定を工夫して風に強い樹をつくる努力をしています。また、摘果といって間引きをするときに、できるだけ枝から下に向かってぶらさがった実を残すようにしています。風が吹いても左右に揺れて風をやり過ごさせるという工夫です。枝から上に向かってついている実は、風が吹くと「あそび」が少ないために簡単に落ちてしまうのです。

風の被害は落果だけではありません。何とか落果を防いでも、葉っぱで実がこすれて表面に擦り傷ができてしまい、売り物にならなくなってしまったりもします。剪定や摘果の工夫のほかにも防風ネットを張ったりもして、可能な限り落果を防いでいますが、正直に言ってこれという有効な手段はありません。何年かに一度は台風で殆どの実が落ちてしまうこともあり、果樹園農家の泣き所になっています。

なんで桃やりんごに袋をかぶせるの?

「赤い実の熟れる里」では無袋栽培を基本にしています。もちろん「黄金桃」のように袋を掛けないとその持ち味の美しい色がでないような品種は別ですが、原則は無袋栽培です。その理由は袋をかけた果実は見かけは綺麗ですが、味はどうしても無袋栽培の実に劣るからなのです。皆さんには、みかけに騙されないで、ホンモノの味を知る消費者になってもらいたいと思います。

それはさておき、果実に袋を掛ける理由は、

  1. 病害虫の被害が防止でき薬剤散布の回数が少ない
  2. 表面の荒れを防ぎ、また果実の葉緑素が退化して着色が鮮明になり、外観が綺麗に仕上がる
  3. 裂果(実の成長に伴って果肉が割れてしまう現象)が起きやすい品種では、これを防ぐことができる

ことなどによります。但し、有袋栽培はこのようなメリットはありますが、果実の糖度は無袋栽培に劣りますので、味を追求する「赤い実の熟れる里」では一部の品種を除いてやっていません。

袋を掛ける時期は早いほどその効果が高いのですが、あまり早すぎると落果しやすいので注意が必要です。また確かに袋をかけると病害虫の浸入を防ぐことができますが、袋を掛ける前の消毒が不充分だと、却って害虫の繁殖を助けてしまいます。消費者におもねり過ぎて、みかけだけ良くするのも考えものですね。

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